冬鳥

Ruby-crowned Kinglet

 今住んでいるアパートで、初めての秋を迎えている。
 春、引っ越してすぐに掛けたバードフィーダーにやって来る鳥も、見慣れた顔ばかりになった。Downy Woodpecker(セジロコゲラ)、White-breasted Nuthatch(カオジロゴジュウカラ)、Carolina Wren(チャバラミソサザイ)にCarolina Chickadee(カロライナコガラ)、そしてヒナの成長も見守ったTufted Titmouse(エボシガラ)。いずれも季節移動をしない定住型の鳥である。
 ところがここ最近、新たな鳥がフィーダーに姿を見せるようになった。Dark-eyed Junco(ユキヒメドリ)とRuby-crowned Kinglet(ルビーキクイタダキ)は、厳しい冬を避けて北から南下して来た鳥、冬鳥だ。


 有史以来、季節によって姿を消したり現したりする鳥の存在は深い謎だった。太古の人々はそれを神の化現と考えた。冬にツバメがいなくなるのは地面に掘った穴で過ごしているからだと言ったのはアリストテレスである。この頃、多くの人々が鳥とは冬眠する生き物だと信じていたそうだ。


 たった今、手が届きそうなほど近い木で、オリーブ色の小さな鳥―Ruby-crowned Kinglet―がせっせと動き回っている。この小さな鳥は遥か遠い北の森で夏を過ごした。長い旅を経て今ここにいる。
 謎の答えを知ってなお、神秘を思わずにはいられない。




参考:Backyard Birding (Nature Companions)