徒然草を読む137

第百六十九段

 「何々の事の式*1という言い方は、後嵯峨天皇*2の治世までは使われていなかった。ここ最近になって用いられるようになった言い方である」とある人が言っていたが、建礼門院*3に仕えた右京大夫は、後鳥羽天皇の即位の後、再び宮中に仕えた事について、「世の中の式も変わってはいないのに*4」と書いている。

*1:しきたり、仕方、慣例

*2:第88代天皇

*3:けんれいもんいん:平清盛の二女である平徳子で、高倉天皇中宮安徳天皇の生母

*4:このような記述はなく、「世のけしきも、変りたる事もなきに」を読み間違えたものと思われる