第百三十一段
貧しい者は、金銭や品物を贈る事が謝礼だと思っており、老いた者は、力仕事をしてやる事が謝礼だと思っている。これらは己の身の程を分かっていないからであって、己の身の程を知って、能力が及ばない時は速やかに止めるのが、智というものである。速やかに止める事を相手が許してくれないとしたら、それはその人が間違っているのだ。己の身の程を知らないままに無理をして相手に尽くそうとするのは、己が間違っているのだ。
貧しくて身の程を知らなければ盗みを働く事になり、力が衰えているのに身の程を知らなければ病にかかる事になる。