徒然草を読む66

第八十一段

 屏風や襖、衝立などの絵や文字が、ぎこちない筆遣いで書かれているのは、見苦しいというよりも、その宿の主人の品位が疑われるというものである。
 そもそも、持っている道具について、がっかりさせられるという事もある。それほどいい物ばかりを持つべきだと言っている訳ではない。壊れないようにと、品位なく、醜いものに仕上げ、目新しいものにしようとして、役に立たない部分を加え、ごてごてと飾り立てたものの事を言っているのである。古風な作りで、それほど仰々しくなく、壊れる事もなくて、質のよいものがいいのである。