徒然草を読む177

第二百三十七段

 柳筥*1に乗せて置く物は、削った柳の木と平行になるように置くか、または直角になるように置くか、それは置く物によるべきなのだろうか。「巻物などは、平行に置き、木の間からこよりを通して結びつける。硯も、平行に置いてあるのは、筆が転がらなくてよい」と、三条右大臣殿はおっしゃっていた。
 勘解由小路家*2の能書の人々は、仮にも並行に置かれる事はない。必ず、直角に乗せ置かれる。

*1:やないばこ:柳の枝を三角に削り、並べてすのこのようにし、二つの足をつけた台

*2:かでのこうじけ:藤原行成(こうぜい)の子孫、書道の宗家