第百八十二段
四条大納言・隆親*1卿が乾鮭*2というものを天皇へ差し上げた。「このような下品な物を、献上するとはどういう事だ」とある人が言うのを聞いて、大納言は、「鮭という魚を差し上げる事が駄目だというのならば失礼な事であるが、そうではない*3。どうして乾かしたものだと差し支えがあるというのか」と言った。
第百八十三段
人を突く牛は角を切り落とし、人にかみつく馬は耳を切り取って、その目印とする。目印を付けずにいて、人を傷つけたのなら、それは主人の罪である。また、人にかみつく犬は飼うべきではない。これらは皆、罪になる。律にある戒め事なのだ。