徒然草を読む120

昼顔

第百四十六段

 明雲*1座主が、人相見に対して、「もしや私に、剣難はあるか」と尋ねたところ、人相見は、「確かに、その相がございます」と答えた。「どのような相か」と尋ねると、「他人から傷害を受ける恐れなどあるはずもない御身体でありながら、仮にも、このように思いつかれて尋ねられたという事、これは既に、その危険の前兆であります」と答えたという。
 果たして、明雲座主は矢に当たって亡くなった*2

*1:みょううん:1167年に延暦寺の座主となる

*2:1183年の法住寺合戦にて、流れ矢に当たって死亡した