2007-05-10 徒然草を読む82 古典 第百一段 ある人が大臣任命の儀式の内弁*1を務めた際、内記*2の持って来た宣命を受け取らずに、紫宸殿に上がり着座してしまうという事があった。この上ない失態であるが、取りに戻る訳にもいかず、思い悩んでいたところ、六位外記*3の中原康綱*4が衣を被った姿の宮中に仕える女房に頼み込んで、その宣命をそっと差し上げさせた。素晴らしい事である。 *1:ないべん:内裏の南面中央の正門で、諸事を取り仕切る役 *2:ないき:中務省に属し、詔勅・宣命を担当する役の官職 *3:げき:太政官に属し、儀式の執行などを司る役の官職 *4:やすつな