徒然草を読む63

第七十六段

 世間で勢いが盛んだと思われている人のもとで、悲しい事や喜ばしい事があると、多くの人が見舞いや祝いのために家を訪れる。そんな中に、聖法師*1が交じって、取り次ぎを申し込み、門口にたたずんでいるのを見ると、そのようにしなくともいいのにと思ってしまう。
 然るべき理由があったとしても、僧というものは世間の人から疎遠である方がよい。

*1:ひじりぼうし:各地を遍歴している民間の遁世者