鳥類画

くちばし (こどものともコレクション (’64~’72))
 ここのところ、天気が思わしくなく、なかなか野鳥を見に散歩にでることができない。こんな時は野鳥ガイドや鳥の写真集などを眺めて、気を紛らわすことになる。
 中でも、1982年発行の切手シート、「Birds and Flowers of the Fifty States*1」は、全体を眺めても、一枚一枚をじっくり見ても、つくづく美しい。Northern Cardinal(ショウジョウコウカンチョウ)は6つの州で州鳥になっているのだなとか、私の好きなCarolina Wren(チャバラミソサザイ)はその名の通りサウスカロライナ州の州鳥なのだなとか、そんなことを思いながら見るのも楽しい。

 これらの絵は、アメリカの鳥類画家・Arthur Singer(アーサー・シンガー)の手によるものだ。1917年にニューヨークに生まれた彼の野生生物に対する興味は、頻繁に訪れたブロンクス動物園により、早くから培われた。十代半ばになる頃には、動物園の鳥や動物などを観察し、すでに見事な素描をするようになっていたという。
 その後、彼の野生生物画に対する興味はおのずとAudubon(オードゥボン)*2やFuertes(フィエルテス)*3といった鳥類画家に向けられ、同時に彼らはいつか追いつきたい目標ともなった。アートディレクターとして仕事をしながら、野生生物画家となる夢を追求していた彼が、ある雑誌から州鳥の絵の依頼を受け、それが大成功を収めたことにより、1958年、Arthur Singer(アーサー・シンガー)は鳥類専門の画家として認められるに至った。
 ふと、薮内正幸氏のことを思い出した。薮内氏も子供の頃から動物園に足しげく通い、動物や鳥のスケッチを繰り返したと、どこかで読んだような覚えがある。氏の描く野生生物画もすばらしい。


*Arthur Singer(アーサー・シンガー)の経歴はこちらを参考にしています。
薮内正幸美術館

*1:画像は一部

*2:1785-1851:アメリカの鳥類学者・画家

*3:1874-1927:アメリカの自然誌家・画家で鳥類の画が専門