徒然草を読む123

第百五十一段

 ある人が言うには、五十歳になっても上達しないような芸は捨てるべきである。稽古に心から打ち込める未来ももうない。老人の事なので、周りの人も笑ったりできない。多くの人に交じっているのも、違和感があり、見苦しい。そもそも、すべての仕事を止めて、暇である事こそが、感じがよく、望ましい事である。世俗の事に携わったまま生涯を送るのは、極めて愚かな人のする事である。知りたいと思う事については、教えを受けるとしても、その大体の様子が分かったならば、もっと知りたいと思わずにそこで止めるのがいい。もちろん、知りたいという望みを持つ事なくいられるならば、それが一番いい。