徒然草を読む84

第百三段

 大覚寺殿*1内にある後宇多法皇*2の御所にて、法皇のお側に仕える人たちが、なぞなぞを作っては解くという遊びをしているところへ医師の丹波忠守*3が現れた。そこで、侍従大納言・三条公明卿が「我が国の者とは見えない忠守である」と、なぞなぞにしたのを、「唐医師*4」と解いて笑い合ったところ、忠守は腹を立てて立ち去ってしまった。

*1:京都市右京区嵯峨にある真言宗大覚寺派大本山

*2:第91代天皇

*3:ただもり:宮中の医薬などを司る典薬寮(てんやくりょう)の長官・典薬頭を務め、歌人でもあり「源氏物語」の注釈家、大陸からの帰化人の子孫であった

*4:忠守が帰化人の子孫でありながら、歌人としても名高いことに触れて、「あなたは、本当は唐の医師ではないのですか」とからかったと考えられている