2007-04-25 徒然草を読む70 古典 第八十六段 平惟継*1中納言は、風月の才*2に富む人であった。一生涯を仏道修行へ傾けるとし、読経を行い、園城寺*3の円伊*4僧正と同じ宿に寝起きして修行に励んでいたところ、文保三年*5に園城寺が焼失した*6。この時、自身の僧坊を持っている僧侶に向かって、「これまでは、園城寺の僧坊の主は『寺法師』と呼ばれていましたが、寺がなくなったので、これからは『法師』と呼びましょう*7」と言ったという。何とも機転の利いた文句である。 *1:これつぐ *2:自然の風物を題材に詩や文章を作る才能 *3:三井寺 *4:えんい *5:1319年 *6:4月25日、山法師(延暦寺の僧徒の呼称)により焼失 *7:本来あるべき「法の師」の立場に帰った事を述べている