徒然草を読む31

第三十九段

 ある人が法然上人に、「念仏を唱えている時、眠気に襲われて、修行を怠ってしまう事があるのですが、どのようにすればこのような事を防げるでしょうか」と言ったところ、上人は「目の覚めている間は、念仏を唱えなさい」と答えられたという。実に尊い事である。
 「極楽浄土での往生は、確かだと思えば確かな事で、不確かだと思えば不確かな事なのだ」と言われた。これも尊い
 また、「念仏による往生を疑いながらでも、念仏を唱えていれば、往生する」とも言われたが、これもまた尊い事であった。

第四十段

 因幡国*1に住む、何とか入道という者の娘が見目麗しいと話に聞き、多くの人が言い寄ってきたが、この娘は、栗をばかりを食べ、米の類をまったく食べなかったので、「このような変わり者は、人に嫁ぐべきではない」と、親は許さなかった。

*1:現在の鳥取県