海外の児童文学

クラバート
子供のころ、漁るように面白そうな本を探して読んでいた私は、次第に日本の本に飽き足らなくなり、海外の本にも手を伸ばすようになった。面白い本はたくさんあった。
ただ、どんなに面白い物語を読んでいるときでも、「この本が書かれた地域の歴史、文化を身をもって知らないがために、この地域の人間ほど臨場感を持つことはできないだろう」と、どこかで冷めていた。これは、仕方のないことなのだが。
だが、海外の児童文学の中でも、私にどうしてかしっくりと合う本がいくつかあった。文化も歴史も異なっているのに、著者が感じているもの、見ているものは私とそう違わないのではと思わされる本、「クラバート」もその一冊である。
この本は「大どろぼうホッツェンプロッツ (新・世界の子どもの本―ドイツの新しい童話 (1))」の著者、オトフリート・プロイスラーによるものだ。全体的に漂うのはどこか薄暗い湿った雰囲気。物語自体ももちろん面白いが、この雰囲気に私は親近感を覚えたのかもしれない。

そして、それからしばらくして出会った絵本「お友だちのほしかったルピナスさん (大型絵本)」で初めて見たビネッテ・シュレーダーの絵に、私の心は再び動いた。やはり、しっくり合うのだ。以下が彼女の代表作(原書)。
LupinchenFlorian und Traktor MaxRa ta ta tam. Die seltsame Geschichte einer kleinen LokLaura

偶然にも上記の二人はともにドイツ人である。


数年前、ドイツを訪れる機会があった。街頭の本屋で「クラバート」の原書を見つけ、嬉しくなり買った。帰国してから辞書を片手に読み始めたが、難しくてなかなか進まない。学生時代まじめにドイツ語を履修しなかったことを少し悔やんだ。
実は同じ本屋で、ビネッテ・シュレーダーの絵本を置いているかと店員に尋ねたのだが、名前の発音が正しくなかったらしく(綴りも覚えていなかった)通じずに終わった。