沈黙

Eastern Bluebird

五月になり、ますます天気のいい日が続くようになった。毎日のように、何かと外に出ている。太陽と緑と鳥の声。自然の美しさの前で、言葉は鳴りをひそめる。気がつけば、ただ感ずるままに自然の中にいる。言葉を持たない生き物のように黙って、感じている。
言葉が生まれてこないのならば黙っていよう、そう思いさえした。だが、言葉の方から歩み寄らなければ、この沈黙に近付くことはできないとも思った。

沈黙を推敲し
言葉に至る道は無い
言葉を推敲し
この沈黙に至ろう

旅先の果てしない自然の中で、気がつけば口を噤んでいた。その心持ちは凡人の私にも分かるような気がした。

見える通りに感ずるなら
すべては美しく輝くだろう
見える通りに書けるなら
時はとどまるだろう

美しい風景を残しておきたくて人は言葉を紡ぐ努力をする、それも一つの真実に違いない。

*引用はすべて、「旅7」谷川俊太郎 これが私の優しさです 谷川俊太郎詩集 (集英社文庫) より


*画像の鳥はEastern Bluebird(ルリツグミ)のオスです*