宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」を読んだ。
本とは、読むたびに伝えてくるものが違うから面白い。人生も同じで、ある人間に関わる人ごとに、その人間から受け取るものが当然違ってくる。
誰かの人生がその本人の預かり知らない影響を他の誰かに与えているように、一冊の本も作者の意図した以上のものを読者に与えている。
実のところ、優れた作品の作者は読者に及ぼす影響など意図していないようだ。ただ真剣に自分の人生を語っているに過ぎないのかもしれない。だとしたら、その真剣さが伝わったとき、人はそこから影響を受けるのではないか。
真剣に書かれたもの以外、読みたいとは思わない昨今である。
銀河鉄道の夜 (宮沢賢治童話集)
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